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流産・死産とは

流産について

流産

産科医 竹内正人 

流産の定義:妊娠22週未満に妊娠が終了する場合をいう

胎児が胎外で生育可能なまでに成熟する以前に妊娠が終了する場合を流産と定義されています。死産とことなり、分娩時の赤ちゃんの生命徴候の有無は問われません。流産域で産まれるということは、分娩時に生命徴候があっても、赤ちゃんは原則として生き抜いてゆくことができないからです。現在、その生育限界は22週とされていますので、今の流産は、妊娠22週未満の妊娠の終了をいい、妊娠12週未満の早期流産と妊娠12週以降22週未満の後期流産に分類されます。

日本では胎児の生存率が50%となる妊娠週数は、1960年代は妊娠30週から31週でしたが、新生児医療の進歩により、1990年代には施設によっては妊娠24週にまで改善されました。現在。周産期センターで経験の豊富な専門医による管理がなされれば生存率50%の時期は妊娠23週にまでなっています。それに伴い、早産と流産の境となる、命のラインも前倒しされてきました。

1979(昭和54)年、妊娠24週未満の分娩を流産と定義される以前は、妊娠28週未満の分娩が流産として取り扱われていました。そして、1993(平成5)年に、今の妊娠22週未満となりました。

ただし、22週は、状態のいい赤ちゃんが、最先端の新生児医療のもとで出生することを前提とした可能性のラインで、妊娠22週になれば赤ちゃんが助かることを意味しているわけではありません。新生児集中治療室(NICU)へのアクセスができない状況で出生すれば、たとえ22週を超えて生まれてきても、命の灯が消えるのを見守らざるを得ないのです。発展途上国では、命のラインが今でも28週ということもあります。先進国の中でも、妊娠25週とすべきではないかという考えもあります。その一方で、21週で生まれた赤ちゃんは100%助からないというわけではありません。

日本の場合は、母体保護法(かつての優生保護法)により、流産域では人工妊娠中絶が可能となる状況も流産の定義に多大な影響を与えていて、命のラインの決定・変更には様々な問題がからんできます。

流産の頻度:妊娠確認後の15%

妊娠が確認された後に起こる流産は約15%といわれますが、妊娠を自覚する前に起こる流産まで含めると、全妊娠の30%にも達すると考えられています。また、受精は成立しても、着床前(着床をもって妊娠の成立なので、妊娠前)のきわめて早期の段階で妊卵(胚)が亡くなることが30~70%程度みられることもわかってきています。

流産がみられる時期は、全体の約70%以上が超音波検査で胎児心拍が確認できる前の妊娠初期(妊娠6~7週未満)で、その頻度は妊娠週数が進むにつれて減少します。胎児心拍確認後に流産となるのは約5%、妊娠12週以降22週未満の後期流産は全妊娠の1.5%程度とされています。

母体年齢からみると、自然流産の頻度は母体年齢とともに上昇し、30歳未満の女性では12%程度であるのに対し、45歳以上の流産率は50%以上にもなります。

流産の原因と頻度:初期流産の半数は染色体異常
後期流産になると子宮頸管無力症・子宮内感染が多くなる

流産の原因は多岐にわたりますが、初期流産の少なくとも半数は染色体異常によります。一般に精子の10~15%、卵子の20~25%に染色体異常を認め、さらに受精のときに1つの卵子に2つの精子が受精する2精子受精による3倍体の発生や、受精卵が分割する時に染色体が完全に分離できないことにより生じるモザイクといわれる異常を加えると、初期胚の染色体異常率は40~50%に達すると考えられています。

これらの異常胚のうち90%は臨床的に妊娠と確認される前に発育を終え、妊娠確認後もその90%は流産として子宮内でその生命を全うするため、最終的に出生に達するのはわずか1%ほどになります。

染色体異常のうち最もよくみられるのは常染色体トリソミーで、核型異常の半分以上をしめます。減数分裂の過程、とりわけ卵子の第1減数分裂では、染色体の分離に異常が生じやすく、2本の相同染色体が分離しない状態で一方の細胞に入ることがあります。このようにして、通常2本で対をなしている染色体が1本過剰の3本になるのがトリソミーです。

母体の年齢とともに卵子のトリソミーの頻度が上昇することが、高齢妊娠で流産率が高くなる一番の理由です。自然流産では1番染色体以外、2番から22番の常染色体トリソミーが報告されていますが、実際に出生に至るのは13トリソミー(パトー[Patau]症候群)、18トリソミー(エドワーズ[Edwards]症候群)、21トリソミー(ダウン[Down]症候群)の一部のみで、配偶子の形成の段階で最も高頻度にみられる16トリソミーの子どもが出生することはありません。

性染色体異常では、45,Xが多く、その99%は選択的死亡に至り、1%のみがターナー(Tumer)症候群として出生すると考えられています。また、47,XXY,47,XXX,47,XYYなどがまれに見られますが、45,Yはまずみられません。この事実は、妊卵が生きてゆくためには少なくとも1つのX染色体が必要であることを意味しています。その他の異常として、3倍体(triploidy;3n:69)、4倍体(tetrap1oidy;4n=92)などがみられますが、3倍体は部分胞状奇胎の原因になることがわかっていて、ほとんどは2精子受精によるものです。

一般に、初期の散発性流産、特に超音波診断で胎児心拍が確認される前の流産は胎児側要因であることがほとんどです。すなわち、妊娠した時点で流産になるという定めが決まっていて、子どもは与えられた命を子宮内で全うします。

胎児心拍確認後に流産となるのは約5%ですが、その原因としては、子宮頸管無力症、子宮内感染(絨毛羊膜炎)、前期破水などにより陣痛を抑制できず流産に至ることによることが多くなり、約半数を占めるようになります。次いで、原因不明のIUFD(子宮内胎児死亡)、先天異常の順となります。

なお、後期流産での原因は、主に胎児側要因からなる前期流産より、そうではなく、母体要因、環境要因が増加してくる22週以降の死産により類似しており、流産でも、前期流産と後期流産は質的には異なるものと考えてよいでしょう。